先を考えて押し寄せた不安

放射線治療のフォローアップから卒業して半年。

最近受けたMRIなどの定期検査の結果も問題なくホッとしている。

 

だが、今回は自分の心がかなり揺れてかなり辛い期間があった。

検査前までは体調も抜群、生活も順調で不安要素は特になく、このままおばあちゃんになるまで人生が続くよね、という誰もが思う将来を漠然と考えていた。

 

子供の頃から健康優良児として表彰されたし、滅多に風邪すらひかないし、乳癌以外は大きな病気もしたことがない。

その乳癌も治療して、幸い経過も順調ですっかり元気。

自分はシニアになっても筋力保って、はつらつと生きるぞ、なんて考えていたんだけど。

 

でも検査が近くなると無意識に緊張感が増していった。

もしまた何か見つかったら。

いや、見つからなくても気付かないうちに何かが起こっていたら。

 

画像診断で病変を100%発見できるわけではない。

乳癌発覚直前のマモグラフィーも再発時のMRIも腫瘍を映し出せなかった。

文字通り自分の手で異変を見つけたのだが、それ以外はまったく元気だった。

だから画像診断の結果がよくても安心しきれない。

 

今回はそれに加えて再々発や転移の不安が加速した。

米国に移住した日本人は乳癌発症率が2割増加という研究があるとか、癌発生率が高い地域だとか、遺伝子変異があるとか、性格的にストレスをためやすいとか、リスクを足していったらたとえ今は大丈夫でも将来再々発しないわけがない!という確信のような結論に至ってしまった。

 

元気に長生きすると思っていた将来が完全に否定されて、ものすごくショックだった。

自分はおばあちゃんになれないかもしれないんだ。

周囲の人たちよりもずっと早くこの世を去るかもしれないんだ。

今まで考えても見なかった現実が目の前に突きつけられた。

同時に経験したことのない恐怖に襲われた。

 

人間には命の終わりが来ることは分かっている、頭では。

でもこの恐れにどう対処すればよいのか。

 

私はある和尚さんの教えに耳を傾けた。

死んだと思って毎日を生きること

死ぬことを諦めること

「死ぬまであと何日」という引き算ではなく、「今朝も1日を過ごせる命を頂けた」という足し算で考えること

 

自分の中に浸透させて心の安定を得られるまで少し時間がかかりそうだ。

でもありがたい教えに出会えたことに感謝している。

 

生きているうちにやりたいことをやり切れるように一日一日を大切にしていこうと思う。